【必見】デジタル遺品整理に携わる場合の法律的問題まとめ
故人のデジタル遺品整理を取り組む際には、いくつか注意しなければならない法律的な問題点があります。
簡単にまとめると
・スマホロック解除し、各種オンラインサービスへのログイン→不正アクセス禁止法
・SNS、オンライン口座へのログイン→サービスの利用規約違反
となる場合があります。これらについて解説します。
不正アクセス禁止法
故人のスマホにログインする場合、不正アクセス禁止法に触れる場合があります。
「インターネット経由で、人のID・パスワードを勝手に使ってログインしてはいけない」という法律です。
違反すると、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。
インターネットを介さないスマホやパソコンの本体ロックを家族が解除する行為は、原則として違法ではないとされています。
なぜなら、インターネットを経由せず、端末本体を操作するだけだからですね。
もし故人のスマホがすでにLINEにログインされた状態で、家族が新たにパスワードを入力する必要なくアプリを開くだけの場合は、不正アクセス禁止法には触れないという弁護士の見解もあります。
問題になるのは、故人のID・パスワードを推測したり、メモから割り出したりして
- SNSアカウントにログインする
- メールサービスにログインする
- クラウドストレージにアクセスする
- ネット銀行・ネット証券にログインする
これらは不正アクセス禁止法に抵触する恐れがあるので注意。
たとえ相手が亡くなった家族であっても、本人の許可なくログインする行為は違法とされる場合があります。
ちなみに、スマホロック解除業者というのも存在しますが、ロック解除するが個別サービスについてはログインしない業者は多いです。
それは、不正アクセス禁止法に触れる可能性があるからなんですね。
故人のアカウントへのログイン:グレーゾーンだが、現状問題になった事例なし
といった場合は、本人の許可があったとみなされ、抵触しないと考えられています。
また
相続人全員の許可を取っている
財産確認のためのログイン
これらの遺族によるログインについても、大きなトラブルにはなっていないようです。
これらは実害が出ていないことから、法律的にはグレーだが、実務上問題になることはほとんどないと考えられているようです。
各種サービスの規約違反
利用規約上、SNSや銀行口座などの各種オンラインサービスなどでは、本人以外の相続は規約違反が多いです。運営会社からログイン情報を渡すことは、基本的にありません。
遺族ができることは
SNSの場合→追悼アカウントにする・アカウント削除
ネット銀行・ネット証券→相続手続きを行う
主要なサービスの利用規約についてまとめてみます。
LINE
4.4. アカウントは、お客様に一身専属的に帰属します。
アカウントの登録が必要な当社サービスにおけるお客様のすべての利用権は、第三者に譲渡、貸与その他の処分または相続させることはできません。
規約を要約すると
- LINEアカウントは、故人本人だけのもの(一身専属とは、運転免許証のようなものでその人だけが持つ権利で、譲渡や相続できない性質のこと)
- 家族でも引き継げない
- 「追悼アカウント」のような仕組みもない
遺族ができるのは、LINE公式の問い合わせフォームから「アカウントを削除してください」と申請することになります。その際には、場合によっては死亡を証明する書類が必要になります。
また退会しない限り、アカウントは削除されない旨の記載がされています。
X(旧Twitter)

公式サイトの情報をもとにすると
- アカウントのログイン情報は故人以外に渡さない
- 遺族が対応できるのは、削除のみ
- 「追悼アカウント」のような仕組みもない
XもLINEと似ていて、追悼アカウントへの移行はできません。
遺族ができるのは、Xのヘルプセンターから「アカウント削除のリクエスト」をすることのみ。家族・後見人または法定代理人(弁護士など)からの申請が必要です。
その他の関係者についても、選択肢として表示されているので、削除申請することができるようです。
Facebook(Meta)

- 遺族が対応できるのは、追悼アカウント化・アカウント削除
Facebookは、ほかのSNSと違い「追悼アカウント」という仕組みを用意しています。
これは、亡くなった人のページを「追悼」と表示して残しておく仕組みです。
選べるのは
- 追悼アカウントに移行する(生前に「追悼アカウント管理人」を指定しておくと、その人が管理できる)
- 家族または代理人によるアカウント完全削除
の2つ。
「生前に決めておく」ことができる、めずらしいタイプのSNSです。
Instagram(Meta)

InstagramもFacebookと同じMeta社のサービスなので、似たような仕組みがあります。
- 遺族が対応できるのは、追悼アカウントへの移行・アカウントの削除
のどちらかを、家族または友人から申請できます。
死亡記事やニュース記事へのリンクなど、亡くなったことを証明する資料が必要です。
プロフィールを削除する場合は、近親者のみでしかできず、削除には出生証明書や死亡証明書などが必要となるので注意が必要です。
Google(Gmail、Googleドライブ、YouTubeなど)

- 故人のアカウントを削除する
- 故人のアカウントから資金を取得するためのリクエストを送信する
- 故人のアカウントからデータを取得する
削除時には、申請者(遺族)の運転免許証など身分証明書と、故人の死亡証明書を用意する必要があります。
またGoogleには、「無効になったアカウントの管理ツール(Inactive Account Manager)」という機能があります。
「一定期間アカウントを使わなかったら、指定した家族にデータを共有する/アカウントを削除する」
という設定を、生前にしておけるサービス。
3~18か月までの期間で利用していなかった場合に特定のユーザーに共有したり、削除するなどを取り決めできます。

もし設定していなかった場合は、遺族がGoogleの故人アカウントリクエストフォームから個別に申請することになります。
Apple(iPhone、iCloud)
Appleでは家族が故人のApple IDにログインするのではなく、Appleが家族用の新しいApple IDを発行。その新しいIDで故人のiCloud上のデータにアクセスするというかたちになっています。
生前に「故人アカウント管理連絡先」を指定しておくと、死亡証明書とアクセスキーをそろえ、遺族がiCloudの一部データにアクセスできるようになります。
Apple、Googleあたりは、生前の準備があるかどうかで遺族の負担が大きく変わるサービスです。
ネット銀行・ネット証券
ネット銀行や証券会社は、SNSとはルールが違います。
これらは「アカウント」というより「預金契約」「証券取引契約」なので、亡くなったら通常の銀行口座と同じように、相続の手続きで承継できます。
具体的には
- 戸籍謄本(こせきとうほん)
- 遺産分割協議書(いさんぶんかつきょうぎしょ)
- 相続人全員の印鑑証明
などをそろえて、各社の相続窓口に申請する流れになります。
ただし、ここでもひとつ注意点。
ログインIDとパスワードがわかっていたとしても、勝手にログインしてお金を引き出すのは、不正アクセス禁止法に触れる可能性があります。
「家族なんだからいいだろう」とログインしてしまうと、あとで別の相続人とトラブルになることもあるので、注意が必要です。
きちんと、各社の相続手続きを使うのが安全です。
まとめ:法律を守って正しく遺品整理を
デジタル遺品整理で気をつける点について解説しました。
まとめると
- 不正アクセス禁止法 → ネット上のIDで勝手にログインしない(遺族による財産確認などはグレーゾーンですが、大きな問題に発展した事例は確認されていません)
- SNS→追悼アカウント化・アカウント削除
- ネット銀行、ネット証券→各種書類を用意したうえで、相続手続き
そして、サービスごとに規約が違うので、注意が必要です。
また基本的にはどんなサービスであろうと、ログイン情報は受け取れないため、削除や追悼アカウントなどで
- LINE、Xは引き継げない(削除のみ)
- Google、Appleは生前の準備で対応の幅が広がる
- ネット銀行、ネット証券は通常の相続手続きで承継できる
ということを覚えておくと良いでしょう。
弊社でも法的に問題ない範囲のみですが、SNS削除サポートなどのデジタル遺品整理を取り扱っていますので、もしご興味のある方はご利用ください。

